「一緒に、帰りましょう!」
迷ったならば、一番したいことを叫べ。
受け身ばかりで守ってもらってばかりではまだ子供だから。差し伸ばされた手が届かないならば、僕から掴めばいい。
僕はもう成長した(変わった)んだから、本当にやりたいことは、ああ、『やれしろ』ですよね――
「帰って、家族みんなでまた……!」
現実の続きを。
こんな悪夢に長居は不要だと、渉が駆け出したが――ぐぃと腕を引かれた。
「渉っ!」
五十鈴の喚起を前で受けつつ、背後では憤慨するかのような荒い息を首筋から感じた。
「いっ……」
引かれた腕にいくつもの手が重なる。どれもこれも“一本たりない手”は、渉を捕縛する網のようでもあった。


