蛞蝓(なめくじ)の移動。這いつくばって腹をつけて移動する姿もそうだが、足跡代わりの血を引きずった跡が蛞蝓の通り道を彷彿させる。
不恰好でしかなかった。いつも気丈で凛々しい五十鈴には縁がない無様な姿。なりふり構えない死に物狂いは、その者の価値を下げる汚さがあるというのに。
「待ってろ、今……!」
助けるからっ、と己を省みない五十鈴をどうして無様であると言えよう。
必死の文字が重石となり、絶対に助けるの意思表示がその身自身に鞭打っている。
「そん……、もう……」
その姿を見た渉が言葉を無くす。
五十鈴が助けてくれるのは嬉しいし、こんな場所よりも彼女の隣がいい。五十鈴の救出の手は希求すらもしたのに――そうなってまで助けてほしいとは言えなかった。


