「っ、はっ――!」
止まっていた呼吸が再開する。
衝撃的すぎてそのまま呑まれてしまうところだった意識を、駆け巡るその痛みを利用して取り戻す。
「ぅ、ぐぅ……」
目についた汗を拭い、今の体を改めて視認する。
仰向けに倒れていた体――その右太ももには杭のような卒塔婆が一本。他にも切り傷めいたものが体にあったが、太ももに比べたら気ににもならない、現状、これがもっとも危険な杭か。
貫いた卒塔婆のせいで中途半端に浮かんでいた右足を無理に下げた。
歯を欠けるほどに噛み締めて、ようやっと右足が地についたところで五十鈴は卒塔婆を持ち上げる。
引き抜く通過距離を短くしたおかげで難なく事は成せたが、右足にまったく力が入らない。
「ちっ、こんな……!」
足の再起不能を理解して毒気を吐いた五十鈴が、体を前に倒して、腕で進もうとする。


