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異様な世界だった。
光を一切遮断している闇の中であるのに、“物がはっきり見えた”。
発光しているわけでもなし、まるで絵の中にでも紛れ込んだかのような光なくとも色別が分かる世界。
背景は黒一色、あとを占めるは茶色。等間隔にそびえ立つ大木が背景に一役買っていた。
大木に葉はなく、木目さえも鉋(かんな)で削いだように薄い。ここまでなれば柱だが、これらの木が何を支えているかは知れない。見上げた先は黒しかなく、“天井”だなんてなかった。
宙と地が繋げる一色が広大な敷地を閉鎖的にしているようだった。遠くに見える大木はひょっとしたら騙し絵の類いじゃないかと――ここは狭い箱の中なんじゃないかと思わせる。


