もう何十個目かの桐の箱を開けたわけだが、その日、僕は開けてはいけないものを開けてしまった。
「なあんにー?」
何、の声が出てしまうほど、その桐の箱の中身は今まで見てきたものと違っていた。
中に入っていたのは衣服ではなく、小さな木の箱だ。
桐の箱が薄い肌色ならば、この木の箱は茶色となるべきだが――箱にはベタベタとお札が貼ってあった。
お札が貼ってある箱だなんて不気味でしかないが、当時の僕は「しーるはってある」程度しか思わず、いつもと違うお宝の匂いにわくわくしたものだ。
「ん、よっ……」
桐の箱は僕の身長以上あったため、お宝を取るには自然と中に入らなければならなくなる。足場から桐の箱を跨ぎ、落ちるようにして、僕の体は納入された。


