中指斬残、捌断ち儀



先ほどの焼き回しだ。学習しないのは藤馬であり、弱者(ゴミ)が歯向かえるわけがないと高を括っていた。


故に、驕り。
即ち、油断。


発起する弱者が足元にいては――目の届く範囲にいるのだから何もできないと思っていたことを責められはしないが、万に一の可能性を考慮せずに“噛まれてしまって”は甘かったとしか言いようがない。


甘かった。
中指の犠牲者は、一人だけじゃないのに――


「とう……っ」


藤馬の危機にいち早く五十鈴が気づけたのは、それが藤馬の背後で起こったことだったからだ。


踊り湧く影の波。
ぶわっと開け放たれた魔物の口でもあった。


藤馬に危険を知らせようにも、前ばかり見て後ろを見ていなかったのは五十鈴も同じ。


その警告の声は背後からまとわりついてきた影に体ごと呑み込まれた。