中指斬残、捌断ち儀



藤馬はそういう事象(もの)でしかない。ならば、台風に突っ込み怪我をしたから喚くのはお門違いであった。


関わらなければ――藤馬に手を出さなければ少なくともこんな事態にはならなかった。


『……………………』


――それは、認めよう。


藤馬は強い。
最強と言える人種であるのは、あの一撃を受けても動ける体が物語り、更には反撃の手をこちらが知らない内に出していたことから一筋縄ではいかないのは明白。


きっと殺される。
弱者たる自分はここで殺される。


――だから、思ったんだ。


『……………………』


“もう、死にたくない”って。


“死んでたまるものか”って――


窮地に立たされた鼠は、生き長らえようと天敵でさえ噛むように――ああ、最強の藤馬だからこそ、“通じてしまった”んだろう。