中指斬残、捌断ち儀



薄っぺらくなった耳にでも分かるように、藤馬が腰を折って鮫歯を軋ませる。


「てめえの前で、あのガキ殺すか?今なら、“それなりに笑えることになるかもしんねえしなぁ”」


囁く予告に、呪物が何を思ったのか。想像には難くないであろう。


藤馬とてそれを分かっていたからこそ、ほのめかした。


冗談だ、それだけに過ぎない。


子供の殺害予告を受けた母親の反応が見たく、そうした後にやっぱりてめえを先に殺すと言えばどんな手段に移るのか玩(もてあそ)びたかっただけ。


更に言えば、てめえとガキの命どちらかが残せるとしたらの選択権を母親に与えても良かった。そうした上で、“母親が選んだ方を殺してみせる”。


当惑させ困惑させ、希望をちらつかせて絶望に叩き落とし、嘘と裏切りのみで構築された会話の中で、結局、何を選んでも呪物が失うものしかない、果ては遊び飽きたら見限ってもみせる。


理不尽さしかない藤馬の遊び方に嘆いてもいいが、それは台風に被害を訴えているようなものだろう。