「つーわけで、今のミスはこれでなし。俺のうっかりなんて責めるにも値しねえし、もちろん、てめえを責める気もねえよ。子供ボコられちゃ、本気になるもんなぁ」
あたりまえあたりまえ、と軽口を叩くのとは裏腹に黒い霞を持つ藤馬の右手にぐぐっと力が込められた。
欠けが体に伝染していく。導火線のように体全体に行き渡って、やっとソレは『やめて』と怯えたようであって。
「誰に懇願してんだ、あ?」
見放された末路は引きちぎり。
びりっと袈裟に裂かれた陽炎を更に細かく細かくびりびりと。形あるものいつかは壊れるだなんて言うが、この壊し方(破れ方)には悪意がありありと浮かんでいた。
もしくは、無邪気か。
物の大切さを知らない幼子が、破く行為に楽しみを覚える――破いた感触が気持ち良いとか、びりびりの音が楽しいとか、千千になる小ささが綺麗だとか、悪気なんかまったくない、楽しいからしているだけの人体破壊は執拗に繰り返された。


