怯えていたのかと思えど、人型のソレがおもむろに脇腹を押さえたことで痛がっているのだと知る。
あまりにも人間臭さがある痛がり方。ぐねぐねと大仰に体位を変えてもまだ苦しむよう。
「あー、クソいてぇ。女のヒスっておっかねえな、何するか分かったもんじゃねえもん。洒落になんねえわ、次から気をつける、ああ、それで解決ー」
ぼやく藤馬の右手には黒いモノが握られていた。
本来、掴めるはずがないもや。霞を掴み、一部持ち歩いているだなんて。
『……!』
呪物の脇腹が欠けていた。
紙をちぎったかのように不自然な窪みがある。だらしのない脇腹の穴は、虫食いよろしくじわじわと広がっていく。


