中指斬残、捌断ち儀



聞いていないことまで喋る喜美子に対しての見方が180度変わってしまう。


親しみやすい笑顔だが、一人暮らしの時に勧誘のために訪れた信者を思い出す。


あの時は男の信者で、今の喜美子と繋げていなかったが、シワが出た目尻と、生ぬるいお湯でふやけて緩むような口元が『こんなにも私は幸せなのよ』とアピールしているように思えた。


つまりは、『今の生き方こそが幸福だ』と宗教団体にいることを全肯定しているような顔。


今にも、喜美子が入る『体幸会』とやらのパンフレットを出されるのかと思えど、喜美子は勘違いなさらないでくださいと貞夫の内心を悟ったように口を出した。