コレが願うことをしてやれば、満足していなくなるんじゃないのか、と窮地に立たされた五十鈴が都合の良い解釈を巡らせたのは責められなかった。
逃げ場が見当たらないから万に一の可能性が大きく見えてしまう。もうこれしかないと、自暴自棄となってしまうのは渉だけは守りたいと思ったから。
何としてでも守りたいとは、自分を犠牲にしてでも渉を救いたい気持ちに繋がる。
無論、自身を犠牲に渉を救ったところでこの少年が素直に喜べないと分かっていても――二人に一人という選択を用いられたとき、見捨てられないのはどっちだ。
渉に、決まっている。
自己犠牲だなんて、自分を傷つけるとは誰かも傷つけることでも――自分か渉か、どちらかしか生き残れないとしたら、五十鈴は自ら身を投げよう。
お節介だから――
人の迷惑にしかならずにきちんと救ってやれない、そんな私だから――
「ごめん、渉……」
母親失格だな、と五十鈴の右目がまた中指の犠牲者を捉えようとしたところで――


