中指がない手が侵入(漬け込める)隙間ができたものの、呪物は渉に対してだけは何もしなかった。 ならばこれは純粋に、中指の犠牲者が味わってきた悲痛を感じてその惨さに怯えているだけか。 『……………………、ぅ』 頭を抱えて震える体を心配した口先が動く。 紙に描いた落書きと同じ、平面の横線が“にんまり”引き伸ばされた。