「やめろ、黙れぇっ!」
内に侵入してくる異物を拒絶しても、一度でも理解してしまえば流れ込む。
中指の犠牲者たるソレの悲痛(笑い)を、受け入れたならば楽になれると天国にでも手招きしているようだが――自我を手離した先にあるものなど生き地獄でしかない。
「っ、くそ……」
理解するな、受け入れるな、同情などしてはいけない……!
「そう、だ……」
呑み込まれてなるものかと、五十鈴は内にある異質を排除しつつあった。
手に宿した痛みはもとより、抱きしめる小さな体が気付け薬の役割を果たす。
渉は大丈夫かと思ったが、そこは確かめるまでもなく。
「――」
少年とてソレを理解してしまった。


