決してその手で手招きをされているわけではないが、夕日を見て心奪われる気になるように――人は儚い者に焦がれを抱く。
短時に変わり終わる橙色の世界。
確固たる恐怖のはずが、“そこだけは惹かれた”。
『…………』
黙した口は下を向く。
首から上が折れた状態では、重い頭が垂れ下がる。
「……、ぁ」
この“位置はまずい”。
そう五十鈴は思えど、手遅れだった。
反抗する手も、逃げる足も、そもそも“使う気になれないほど怯えた”のならば、もうこの位置関係は崩せない。
横たわり悲鳴をあげた渉を抱きかかえた。無論ながら、五十鈴も膝を地につけた体勢となっている。
低くなる視点。
だから、“見上げたら分かってしまうんだ”。


