兆候がない突飛が渉の前に――藤馬がいた場所に立っていたことで、渉は全てを理解し、悲鳴をあげた。
真の恐怖とはいつだって分かりやすい。
こわいこわいオバケ。
生きていないのに立っている、存在してはいけない恐怖で塗り重ねた化け物が、そこにいた。
「――」
「わた、る……!」
渉に覆い被さった五十鈴の右目にも、見えていた。
肝を冷やすどころか抜かれたような恐怖に対して、五十鈴も怖じ気づいたものだったが、渉の悲鳴で我に返る。
使命感に近い責任感がいざこうして、渉を庇うような形を成してくれたが。
「っ……!」
息を、呑む。
間近で見たそいつは決して初見ではないが、フクロウの左目で見るよりも、“今の方がはっきりしている”。


