誰もが理解しがたい状況下は一瞬の内で仕上がった。
説明できない――説明できようがない事の発端。
事の次第をかいつまめば、まず、藤馬の体が腹部から『く』の字に曲がった。人間の拳ではああならない、言うならば鉄球でも腹部ぶちこまれたような苦悶の姿勢。
よほどの豪速球だったのか、その力の塊に巻き込まれるような形で藤馬の体が弾け飛ぶ。
豪速球そのものに成り下がったような人体は流れるようにして後ろに飛ばされた。どこまでも飛んでいく、視界から消えても良さそうなものだったが――軌道上には障害物があった。
渉の近くにあった石灯籠と対角線上にあった同じ作りの障害。
これがピンポン玉ならば、また跳ねっ返り戻ってこようが、人体はそう都合よく出来ていないし、弾いたゴムが強力であればピンポン玉も障害物を倒すであろう。


