最初からじり貧だったのであろう、手の具合もさることながら、藤馬相手に――いいや、命の取り引きをするという緊迫感だけで神経が擦りきれていたのかもしれない。
ついで、死神の証たる鋏が砕けたこともダメージに来たか、しばらくは動けないかと藤馬は目配せもせずに、五十鈴を無視した。
「待たせたな、クソガキ」
「いす、ず……」
彼女の名を呼ぼうとした渉の腹に圧迫がかかる。
瞬間的にではなく、持続的たる踏みつけは万力のようにじわじわと負荷をかけていくようだった。
「わりいな、ほら、俺、モテモテだからよぅ。てめえばっかりにも構ってらんねえんだよ。忙しいの、分かる?おい、俺ってちょー忙しいから、こうしてたまに、ストレス発散しなきゃいけねえんだよ」


