『頼めば、助けてくれる』。なぜか、そこに根拠なんかなく、あるのは不確かな“信頼”のみ。
人は人を裏切るし、人の腹内など探れるわけも分かるわけもない。信頼信用などと所詮は“人間関係の付け焼き刃”に過ぎず、他人が自分の思い通りにいくなどと思うことは身勝手でしかない。
なのに、渉は言った。
「藤馬さ……だか……ら」
聞き間違えにしないほど口にしてみせた。
身勝手、わがまま。どこをどう見て、“俺がてめえの思い通りに動くと思った”?
ぎりっと立てた鮫歯が欠けた気さえもした。先ほどから、イライラの収集がつかない。これだけ憂さ晴らしをしているはずなのに、晴れず――ああ、だから。
「クソがよぅ!」
“何がこんなにイラつかせるんだ”?


