冷たい返し方ではなく、無理して一緒にいるんじゃないかとのことに五十鈴さんは物申したいみたいだった。
マナーなくともと言うけど、僕の都合を考慮している時点で彼女もまた礼儀正しいじゃないか。軽口みたくそこをついても良かったが。
『本当のことを言って――』
そのワードが、心を掘り返す。
その内に含まれる意図はまったく別と分かっているのに、耳に痛い言葉は痛いわけで。
「渉?」
黙していた僕に何かを感じた彼女が距離を詰めてくる。
「……い、す」
「なんだ、まさか、誕生日に風邪とか言うなよ?」
ふむ、と顔を触ってくる五十鈴さんに気恥ずかしさを覚える反面――バレるんじゃないかと怯えていた。


