渉が不自由な思いをしないためにも仕事は現状で続けるしかなく、しかして渉の世話ができなくなってはかわいそうだと。
故に、今までの生活の延長線として、自身は働きに専念するから渉を世話してくれる“母親代わり”を求めた。
その母親代わり候補が異常と思え、自分なりに色んな場所に行き、あくせく“良い母親代わり”を探してみたが見つからない。
やれることはやったんだ。もうこれしか最善がない。
――渉のためには、これが一番いいんだ。
そんな美化精神が先達ことを連ねて、貞夫は自身に間違いはない――やれることはやって、もうこれ以上はしてやれないと、最後の最後に渉に報いたつもりでもいたが。


