そんなことを言えるわけもないし、五十鈴さんの気持ちに泥を塗りたくもないので笑顔を保つ。
「それでだな、今年もまたプレゼントがあるんだ」
いそいそとした感じで五十鈴さんが長方形の箱を取り出してきた。
青い包装紙でラッピングされたその形を見て、デジャブを覚える。
「もしかして、腕時計ですか?」
「ああ、そうだが。も、もしかして嫌だったか」
「いえ、そんなことはないんですけど」
苦笑い交じりで、“昨日まったく同じ形の箱を渡された”のを思い出す。
「さざめきさんからも、時計をプレゼントされたんですよ」
「う、腕時計をかっ」
狼狽する五十鈴さんが面白く見えてしまう。
五十鈴さんとさざめきさんは似ていると思っていたけど、まさかプレゼントが被るとは。さすがにデザインは違うだろうけれども、学生へのプレゼントチョイスが腕時計になるあたり、相性はいいんだろうな。


