中指斬残、捌断ち儀



それならば、喜美子という人物が渉を養子にすることを断れば良かったのに。


『分かりました』


と、一言返事で了承したのだから貞夫は寒気を覚えたものだ。


勘当された家族の頼みごとであり、見たこともない産んだことさえ知らないでいた妹の息子を世話することに、電話向こうで何の迷いもなく喜美子は了承したんだ。


どうかしていると、電話終わったあとに義父に言ったが、明子を殴ってしまったときから一切口は聞いてくれない人が話すわけもなく、明子とて耳を貸すこともなかった。


その一連のことに貞夫は狂っていると喚いたが――当の人ほど自覚はしていないものだった。


なぜ面倒を見れる義理両親は見ないんだと、貞夫は怒りを煮やしたが、もっとやりようがあることを貞夫はしていない以上、彼が嫌気さす人たちとまったく同列の位でしかなかった。