ワンコール、ツーコール、プツ。
「も、もしもし」
『渉くんかい、なんだい、こんな時間に。今ちょっと忙しくてね。用件なら――』
「伯母さんが、こっちにいます」
電話向こうの持田さんが動揺したように思えたけど、いつもの声が返ってきた。
『そうかそうか。いやね、夕方あたりからいなくなってしまって、困っていたんだよ。ハハッ、そうか、そっちにいるってなると春夏秋冬の家だね?』
「はい。階段のところに……」
『なら、今すぐ私が迎えに行こう。喜美子さんをすぐに連れていきたいから、階段で折り返して君のとこには顔出さないがいいかね。子供はもう寝てなさい』
「はい。なるべく早く来てください……」
『分かった分かった。あーうん、まいったね、ハハッ。退院早々に迷惑かけてすまなかった。――ああ、あと、このことは誰にも話してはいけないよ。約束できるね』


