中指斬残、捌断ち儀



密着しているからこそ分かる声量。何の歌かは分からないけど、さざめきさんの声が僕の聴覚を独占していく。


揺りかごと言った背中が揺れる。階段を上っているんだ、――つまりは、伯母さんに近づいて。


「寝てなさい」


うっすらあけた瞼を閉じる。感覚としては真横を通りすぎたのだろう、伯母さんの旋律が聞こえたと思うがさざめきさんの鼻歌できちんと聞くことができなかった。


目と耳。
物事を認識する部位が伯母さんを感じさせてはくれない。


もしかしたら、寝なさいも鼻歌もこれを狙っていたのか。


ある程度上ったあとに目を開けてみれば、当たり前のように伯母さんは上にはいなかった。


上じゃないなら下だけど、振り向く勇気はない。