「っ、はあ……はあ……」
「その調子だ。上手だ、渉くん」
「さざ、め……っ」
貧血でも来たような立ちくらみで体がなだれた。そこはもともと支えてくれたさざめきさんが、倒れぬようにキャッチはしてくれるけど。
「はあ、はっ……ぼ、く……」
何があった?
一連のことが白昼夢みたく感じられる。
さざめきさんに聞けば、考えなくていいと言われてしまう。
「とりあえず、君の家に行こう。この上だろ?僕におぶさって。できるね?」
階段に僕を座らせたあと、さざめきさんはわざわざそれよりも低い位置に移動して膝を折った。
背中は決して広くはない細い体は僕の体重を乗せられるのかと思ったが。
「力持ち100%。――内訳、縁の下の60%。大人の腕力30%。意外性10%」
思わず、苦笑いをしてしまった。
息は乱れてすぐに崩れた苦笑だけど、さざめきさんらしさにこの人はと呆れて笑えてしまう。


