「あつい、でもあいつらがうばう。ここでこうしなきゃ泣くの」
「迎えが来ます。可愛らしいお子さんとここで待っていてください。あいつらはもういません」
「ゆりかごで?」
「迎えに来ます」
「なきやんだ、くろいのが、なく。でもむかえ、みみがいたくて、かわいい、かわいいの、わたしの、あたし?わたし?あれ、どこに、まだいちねんもたっていないのに、あたし、あれ、おいてきた、どこ」
「“そこで泣いていますから”、また子守唄(かごめ)を歌ってあげてください」
「むかえ、むか……め……め、かごの……りぃは……」
会話には程遠い対話が終わる。
伯母さんはまた何かしらを口ずさみ、さざめきさんが僕のもと近づいてくる。
大丈夫だから、と言った気がしたけど。
「っ、はっ、はっ……」
限界、だった。
聞こえてきた伯母さんの声に、見えてしまった顔に、心臓が大きく膨らむ。
血液が頭に行かない、足に溜まっているのか今にも膝をつきたい。
「渉く……!」
肺が縮む。
三半規管が鼓動音だけで蹂躙されていく。


