「自殺だなんて……、傷つかないんですから」
「何を持ってそれを確信する。――いいや、“なんで分かるんだ”」
「……」
黙したのはまずかったけど、上手い嘘が咄嗟に出てこなかった。
何をしても――階段から落ちても傷つかないことが“分かっているだなんて”、それはつまり実証済みと捉えられても仕方がない。
今思えば、足を滑らせたなどの事故を装えば良かったものの、僕は優しい人に嘘をつくという真似ができなかった。
嘘をつきたくない、けれども本当のことさえ口に出せない。
だから、黙した。
それは嘘を推測させる答えであっても――
「誘導尋問めいていたか、今のは……、すまなかった」


