「いいや、根なし草……とは微妙に違うか。あちこちを転々としている。僕はどこにでも行けるから」
「どこにでも……、あ、魔法使いなんですよね」
言ったあとに、しまったと思う。
うっかり忘れていたが、確かさざめきさんは違うと藤馬さんは言っていたのに。
訂正利かずの僕の間違いを聞いた、さざめきさんの口が微かに動く。
なんで知っているんだとした難しげな表情でも、「藤馬か」と察したらしく息を溢した。
「す、すみません。今のは僕の勘違いでして……」
「謝らなくていい。事実だから」
「すみません……」
「だから――」
「気を、悪くなされたみたいで……」
「……。何に対して僕が嫌な気持ちになっているか分からない君に謝罪など求めないよ」


