中指斬残、捌断ち儀



『な?な?頼むよ』な気さくなお願いポーズなのに、だからなんで真顔なんだろう……


別に真顔だからと断る理由もないし、どうせ家に帰るのだからと了承すれば、先ほどの水虫キラーをさざめきさんが取り出した。


「足先がかいぃんだよ。指の間、もーぜんぶっ。今日中に来いや。でなきゃ、二度と喋れねえ口にしてやんぞ、ああん?――というわけだから」


藤馬さんの口まねをするさざめきさん。すごい似てた。表情は相変わらずなのに。



「水虫藤馬に移されないよう。半径100mの距離を保っているように。約束だゾ」


「……、はい」


水虫藤馬であの人の不衛生さが更に増した気がしたけど、水虫ってインフルエンザ並みの感染力だっただろうか。


まあともあれ、僕は手のひらを出して、さざめきさんが渡そうとする水虫キラーの箱を――


「あ」


と、渡されなかった。