「……」
藤馬さんは友達どころか知り合いでいることすらも拒絶されているようだった。
「さっき、『僕の家』と言ったな。ではなんだ?君の姓は春夏秋冬(ひととせ)なのか」
「はい」
「渉?」
「はい」
「わたるん?」
「はい……」
「あのわたるんか?」
「多分は……」
藤馬さんが僕の話でもしていたのか、僕の名前を知る男性は神妙な雰囲気で腕を組む。鼻血は止まったらしく、ハンカチは右手に握りしめられていた。
「あの……」
藤馬さんからなんて聞いたかは分からないが、黙って見られるのは落ち着かない。声をかければ、すまないと言われ。
「片桐さざめき100%。――内訳、片桐50%。さざめき50%」
僕の声かけを勘違いしたらしく自己紹介をされた。


