「……そんなことないです」
返答を入れるタイミングが難しい人だった。
「それよりも頭とか打ってないですか、倒れていたみたいですけど、医者に看てもらった方が……」
「安心100%。――内訳、顔面着地だから50%。医者は僕だ50%」
「……」
世も末だなぁと、若造ごときでも言いたくなった。
顔面着地などより痛そうだし、何よりも赤いコート着た人が医者。コントみたいな倒れ方をした人が医者だなんて……
思いながら、男性のコートが大分薄い生地であるのに気づく。
大丈夫と言わんばかりに立たれたことで気づいたが、膝丈ほどある赤い外套には両サイドにポケットがついていて、襟元が長め。黒ズボンに白シャツ、医者と名乗るならば、もしかしたら、男性が着ているのは“白衣”なのか。色が赤い時点で白衣と言えるかわからないけど……


