僕の中の妹は、まだ“生きていなかった”。
母親は死んだと言うが、僕の中じゃ、いなくなった程度しか思えない。
家の隅に来ていた野良猫がある日突然来なくなったような、寂しいけど泣きたいまではいかない。
唯一、泣きたいとすれば、母親の涙と、両親の言い合いに向けてだけど。
ヒステリーを起こし、家事をほったらかしにする母親に、父親は次第と不満を抱いていた。
この頃、両親と祖父母は完全に決裂し、別居の話まで出ていたのだから、祖父母もこちらの夫婦喧嘩に干渉せず、『言わんこっちゃない』と自業自得な目で二人を見ていた。
きっと、流産したのも僕のせいにしたかったのだろう。
いや、だろうじゃなくて、間違いなくだけど。


