引きずり女の話が本当ならば、彼女に捕まれば、僕は“引きずられ役”となる。
即ち、死。
“無事では済まないことは明白を知った上で、僕は逃げなかった”。
腰が抜けて動けないや、出会いたかったモノと邂逅して感激に浸ったわけでもない。
何を考えていたか分からなかった、ただそうしたかった身は“引きずられ役”になること必須だったろう。
しかしながら、引きずり女は僕を通りすぎて行ってしまった。お気に召さなかったか、もしくは僕の呪いが何かしたか――問題は、“助かったさいに僕は何も感じないままでいたこと”だった。
助かったのに、いや、それ以前に“恐怖がなかった”。
僕は死なないと高を括ったわけではない。藤馬さんに一度、殴られてた身としては、“僕の呪いは完璧でない”と知っている。


