「……」
「つーか、うっかりぃ。そもそもあのババアに喜怒哀楽あんのかねぇ。楽しいときも悲しいときもずっとゲロ吐いて怒りまくってんじゃねえのーっ。
あ、なーら、ますますわたるんは意味ねえことしてんなぁ。天然石――ババアの持ち物なくなったぐれえでビクビクだなんて、ちょービビり、情けねえ!
“いない奴にビビってどうする、てめえがビビったところでババアは何とも思わねえよ”」
反論ができなかったのは、その通りだったから。
いない人が僕を縛る。頭の中では伯母さんの教えが続くが、その教えで己をがんじがらめにするのは僕だった。
縛りをほどいたところで何もないが、その“ほどいた時に何を思うかが怖かった”。
夢の“浄め儀”を起きたときに、現実ではもう起こらないと――伯母さんがいないからホッとできる自分を感じるのが嫌だった。


