中指斬残、捌断ち儀



「ああ、はい。本来ならば招かなければ誰も来ることができない土地なのに、でしたね」


「そーそー。誰からも意識されないこの土地――つうか山か。ここはな、人間が踏み込めない神脈なんだよ」


「神脈の言葉がしっくりこないのですが……」


「自分のいる場所ぐらい知っとけっつーの。風水における災脈――人間の厄ってえのは10種類に分けられるが、そん中にある神脈は『神に不敬を働きしものに罰を』ってな感じのもん。『触らぬ神に祟りなし』だな、触りたくなきゃ近づかなければいいし、神社だなんてそう毎度人間が寄り付くわけでもねえ。

無闇やたらに近づいていけねえ土地だ、そこから転じて、誰も意識しなくなった。ここに近づかねえから、ここを忘れたんだよ」