「それで……、さっき藤馬さんは『もう戻ってこない』と言いましたが、伯母さんの天然石の行方は……」
「売りさばいた」
「そうですか……」
少なからず予想はしていたが、かなりきつい。
はあとため息つきで項垂れてしまう。
「売っただなんて、宝石じゃあるまいし、天然石なんてそんなに高値じゃないでしょうに……」
なくなっていたのは天然石だけで、金のネックレスなりは残っていたんだ。アクセサリーも伯母さんにとっては必要だが、伯母さんが何よりも大事にしていた“お守り”を売るなんて……いや、そもそも、勝手に売ることがおかしい。
「わたるんは金銭感覚がねえんだなー。ま、天然石の相場だなんて石の種類でけっこー幅広いが、物によっちゃあ、三ケタのもあるぜぇ」


