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「持ち主がいないもんを有効利用してやって、何が悪いんだ?」
居間で寝そべる藤馬さんの言い分は、初めから破綻していた。
「持ち主がいないって、まだ伯母さんは生きてますよ……」
例え形見としても、伯母さんの物を知らない男が勝手に持ち出すのは如何なものか。
「生きてねえよ、ありゃあ。現実に溶け込めない時点で、“生きるに値しない”。頭がクルクルパーになったあのババアが今更天然石なくなったことで何か言うかよ」
言ったとしたら藤馬さんは知らん顔するんだろうなぁと思う。肘を立てて、手に頬を乗せるぐうたらぶりが無責任さを物語るようだ。


