『弱くなってんだよ、この土地。本当なら、“家主に招かなければー”って土地なのによぅ。ついてくるだけでたどり着けるだなんて、これからうぜえのがどんどん来んな』


藤馬さんがなぜか辟易していた。

春夏秋冬の家を癒しスポットとか言っていたから、そこに入り込んでくる良くないもの――藤馬さんがするところのウザいものが嫌だったんだろう。


窓を割られて掃除をした身では僕とて願い下げの訪問者だ。やっとお金の管理を覚えてきた主婦精神としては窓代金が手痛い……


藤馬さんに何か打開策はないかと聞こうとして、ふと思い至る。


僕からのお願いだなんて、この人は聞いてくれないだろうと。


僕が困る姿大好きらしいので、ここで何か言ったら藤馬さんは動かなくなるのを見越し、あえて黙っていた。