しかしながら、僕にはもう呪いがかかっていた。
中指のアレが能面の奴を邪魔しているのか、中指のアレがいるから能面の奴が躊躇っているのか、どちらにせよ、手出しできないなりに殺したい願望はあるらしく家までついてきた能面の奴は、八つ当たりと言わんばかりに窓ガラスを割った。
僕の自室。
カーテンがない窓の向こうで布団に横になる僕を見ていたかと思えば、いきなり窓を割られた。
殴打にしては派手すぎる、爆発物でも仕込んだかのような割れ方のせいで部屋中足の踏み場がないほどの破片が散らばる。中には畳に突き刺さったものもあったが、僕は無傷。布団が結界代わりのように一畳分のスペースを破片は避けていた。
僕を生かしてくれるもののおかげだろう。能面はすぐに消えたが、翌日来た藤馬さんには何があったか見え見えらしかった。


