「それで忙しい五十鈴さんに遠慮か。分からなくもないけどな、五十鈴さんは世話を焼きすぎるから」
「……、重々承知だ」
「家族に会いに来た感覚で君はいるかもしれないが、『そいつ』とやらに取っては、海外に単身赴任している家族がわざわざ日本に帰国してくれたなりに思うだろうな。
嬉しい反面、悪い。自身の価値が分からない子にとっては、『そこまでされる筋合いはない』というあたりか」
「酷い言い方だな……」
「その酷さの受け取り先は紛れもなく“そいつ自身に向けて”だろう。壁を作りたくもなる。他人に迷惑かけたくないならば、他人と関わらないのが一番だからな」
「私は迷惑などと……!」