「している。だから話を聞こうじゃないか。僕に答えられるものならば、何でも答えよう。まあ、僕が答えられるから五十鈴さんは僕を頼るのだろうけど」


「知り合い……私のかけがえのない存在みたいな、その、そいつの身内がちょっとな……。そいつと暮らせなくなり、そいつが一人で大きな家に住むことになったんで、子供だけではと私が一緒に住もうと言ったんだが断られた。

子供なんだぞ?中学一年が一人暮らしをするだなんて……家事能力だけでなく、精神面も弱いのに。そのくせ、何もかも『僕のせいだ』と背負い込んで、私がその助けを入れようとすれば、大丈夫だと言われる。“愛想笑い付き”で、さも自分は大丈夫かのように振る舞うんだ。前にも増してな」


「前にも増して……?」


「ああ。もう長い年月を――そいつが小学生の時からの付き合いだが、最近は遠慮気味というか、ったく、まだまだ子供のくせに、私に遠慮するなどと……。私はそいつを家族だと思っているんだが、どうにも……壁があるような気がするんだ」