伯母さんのことを“あの人たち”……、元の両親に話そうかと思ったが、連絡先が分からない。


そこは持田さんが分かっていたらしく、もう既に言ってあるよと聞かなくても教えてくれた。


「『渉については任せます』だって」


聞いてないからこそ、勝手に教えてくれた。


任せますだなんて、まるっきり、投げやりじゃないかと思った。


子を誰かに預けるならば、『よろしくお願いします』が常套句なんだけど……もはや、手放したものの行く末など、どうでもいいんだろう。


任せます。煮ようが焼こうがご勝手にどうぞ……とは、ひねくれた考えですね。


でも僕にはそう聞こえてならなかった。


けれども、動揺はしない。新しい家族(幸せ)があの人たちにはあると分かっていたから、これが普通なんだと思った。