「なんだ、それは」
「あ、そのおじさんから貰った名刺です」
どうぞと渡せば、五十鈴さんは名刺をまじまじと見ていた。
ひっかけ問題でも見るような、どこかにおかしな点はないかと見て。
「素性は、はっきりしているんだな……」
立派な身分で、とぼやいた後に名刺を返された。
「渉は……、やはり本来の両親のもとに帰りたくはないよな」
「はい……」
「なら、施設と『おじさん』とやらは言うが、そちらも嫌か?」
「はい……」
「そうか……」
お前が決めたことならば、と五十鈴さんは僕の意見を尊重してくれるが、どこか煮え切らないといった面持ちがある。


