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「そうか、そんなことが……」
コタツを挟んで僕の前に座る五十鈴さんは、ぐっと目を瞑り、涙を堪えているようにも思えた。
不甲斐ない、と悔しがっていることもあるのか、なんて言葉を出していいか分からない五十鈴さんはしばらく押し黙る。
僕もそんな反応されてはどうしていいか分からない。持っていたお茶碗と箸、ご飯と厚焼き玉子を食べようとした状態で止まってしまった。
夕食は五十鈴さんが用意してくれたものだった。お腹空いていると言ったわけではないが、とりあえず食べろと五十鈴さんが作ってくれたのは厚焼き玉子やら菜っ葉のおひたし、味噌汁と純和風のものだ。
ああ、その前に、「こんな場所で食事はできない」と家中の掃除を五十鈴さんはしてくれた。
匂いの問題はまだ残るけど、換気を十分にし、みかんの皮を軽く潰してできる消臭方法を五十鈴さんはしてくれたので今となってはあまり気にならないほどになった。


