「いい子だねぇ、君は。喜美子さんは君を呪いだの何だの言っていたが、それはきっと喜美子さんが弱いせいだ。弱いと周りが敵だらけに思えてしまうから……。選ばれても、力を維持できるかはその人次第だから、ああ、うん、喜美子さんは本当に残念だ……。おっと、変な話をしてしまったね」
ごめんと言われたあとに、もう話はないだろうと僕は「失礼します」とドアを締めた。
車から一歩離れるなり、発進する。見送る気はなかったので、すぐに車とは逆方向へと足を進めた。
10月の夜は寒い。薄地のシャツのせいかと思い、そういえば、後日取りに行かなきゃいけないのかと思い出す。
徒歩にしたら遠い総合病院だけど、車と自転車がない身では他に方法がない。


