中指斬残、捌断ち儀



とは言っても、当時の知恵でできたことはものすごく単純。


僕は、泣かなかった。


最初の内は怖くて泣いたけど、僕が泣くとつられて両親が号泣するものだから、その循環を見て覚えてしまった僕は泣かないようにした。


何を聞いても、何があっても、平然に、口を一文字に縛り、ただただじっとしていた。


自分では涙を堪えていたつもりでも、大人からしてみれば、無表情にしか見えない。


何を言われても、さも、自分のことでないかのように一歩後ろにいるような子供。


泣きもしない笑いもしない子供など、『可愛くなんかなかった』。


『子供は子供らしく大人に媚び売れ』と、ある小悪党が僕に言っていたが、それに対して、『僕には無理です』と即答できたあたり、僕は早い内から『生き方』を覚えてしまった。