中指斬残、捌断ち儀



今すぐにでも謝りたい。けれども、通信手段が……


「いやあ、ごめん、待たせたね。行こうか」


「……」


「ん?なんだい?」


「いえ、なんでもない、です……」


車内に入ってきたおじさんが携帯電話を胸ポケットにしまうのを止められなかった。


『ごめんなさい。僕は大丈夫です』と五十鈴さんに報告するため、おじさんの持つ携帯電話で通話させてもらおうかと思ったけど、最適な頼み方が思い付かなかった。


知り合いにかけたい、がいいのだろうけど、通話後に「どんな知り合いなの?」とか五十鈴さんについておじさんが詮索してきたら、騙せるような嘘をつく自信がなかった。


死神です、だなんて信じるわけもないけど、人間と関わり持たない五十鈴さんをおじさんに教えるのは気が引けたし、おじさんの携帯電話に五十鈴さんの番号を入れたくなかった。