バックミラーには天然石をあつらえたワッカ状の飾りが吊るされていて、僕を乗せた後におじさんが締めたドアの衝撃でかすかに揺れていた。
助手席の窓の外からおじさんがジェスチャーで「ちょっと待ってね」としながら、片手でケータイをいじる。
通話しながら運転席側まで来たようだけど、中には入らなかった。
会話はよく聞こえないけど、携帯電話で五十鈴さんに連絡したことを思い出す。
来たのは藤馬さんだけど、助けに行くよう言ってくれたのは五十鈴さん。助けてと言わなくとも、事態の重大さに気づいてくれたんだろう。
『柄にもなく、泣きそうな声で――』
「……」
心配をかけさせてしまったと、五十鈴さんの涙の要因になってしまったことにこちらが悲しい思いになった。


