中学生だから大丈夫なはずだ、という意見がもっともだからこそ僕は春夏秋冬の家に帰ることにした。
一人になりたかったのもある。また“同じことが起こるんじゃないか”と怯えていた。
放心状態だったのは逆に僥倖(ぎょうこう)だったのかもしれない。何も感じることができないからこそ、アレも沈黙している。僕の感情によって動くのだから――ああ、もうこのままでいいやとも思えた。
医者と二、三話したおじさん。「後日また」との言葉を締めに、僕を駐車場まで導く。
日が落ちていたのを外に出て初めて知る。
何時だと思ったけど、聞ける気も起きずに車に乗る。買い換えたばかりのような黒塗りの車、車内はやけに甘い匂いがしていた。


